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Endoji Cricket CLUB

Endoji Cricket CLUB

Endoji Cricket Club  2019

For the  Project, Kyun-Chome will organize a participatory event in which visitors can temporarily join a cricket team including many foreigners residing in Japan. Cricket boasts a total of 100 million players worldwide, and in Aichi Prefecture it happens to be particularly popular as a social sport among the foreign population. Through a game of cricket, which includes intervals for a lecture performance by Kyun-Chome, as well as tea time, learning islam religion and pray for their god, participants will experience the invisible realities of Aichi, from changing one's name when naturalizing, to the used-car industry and religion.

円頓寺クリケットクラブ(2019)

あいちトリエンナーレのパフォーミングアーツとして開催された「円頓寺クリケットクラブ」

愛知県に住むパキスタン人5名、参加者30名によって行われた。

 

 

この公演は、愛知に住みクリケットクラブを営むパキスタン人のウマルさんとの対話から始まる。

なぜ自分がこの愛知という場所にいるのか、普段はどんな仕事をしているのか

自分にとってクリケットとはどんなものなのか、そして自分が大切にしているものはなんなのか。

彼との対話を終えた後、うまるさんが大切にしているものを、二つやってみることにする。

一番大切なものはもちろん、宗教。

彼が愛し信仰する、イスラームの祈りの形をみんなで習う。

そして二番目に彼が愛している、パキスタンで最も人気なスポーツ、クリケットを共にプレイする。

共に話し、共に祈り、共に身体を動かす。それぞれがゆるやかにつながり、彼らの愛を知ることになる。

クリケットは英国発祥の球技で、野球の原型と言われるスポーツだ。現在も主にイギリスの旧植民地国で盛んにプレーされ、サッカーに続き世界で二番目に競技人口の多いスポーツである。

 

そんな世界的な大人気スポーツも、日本では全くといっていいほど知られていない。私も一年ほど前に制作で愛知を訪れるまでは、クリケットというスポーツがこの世に存在することすら知らなかった。しかし実は愛知県はクリケットが盛んに行われている日本では珍しい地域の一つである。なんと愛知県内だけで20近くのクリケットクラブがあるのだそうだ。メンバーはほぼ全員が外国人で、旧イギリス植民地領出身の人が大半を占める。愛知県は総人口における外国人比率が全国で二番目に高いことで知られているが、クリケットラバーズな彼らは中古車産業を生活の糧にしていることが多く、独自のコミュニティをもっている。例えば、在日インド、パキスタン、スリランカ人は、お互いの言語を理解できないけれど、全員クリケットができるので、草むらの上で友達になれるのだそうだ。

 

「クリケットが好きなんですか?」愛知で出会ったあるパキスタン人に質問をすると目を爛々と輝かせ、こう答えた。「僕の人生には3つの大切なものがある、一番目はアッラー、二番目がクリケット、三番目が食事さ」

クリケット、なんと二番目である。アッラーに続く大切なものだということは、それはだいぶ心の底から愛されているということなのだろう。続けて彼はこう言う。「クリケットは誰にだってできるし、誰だって歓迎だよ。クリケットを知っていたら、絶対みんな仲間に入れてくれるよ」

 

”クリケットを知っていたら”という言葉はとても重要で、知ろうとする態度こそが鍵になるということだ。私はクリケットを知りたいと思った。だけどそれは新しいスポーツを知りたいのではない。彼らの愛するものを知りたいのだ。それはつまり、未知なる愛を知るということに他ならない。

 

今日、私たちはこの場所で、見慣れない太く平たいバッドを握ることになる。助走をつけて水面をかくように腕を動かしてボールを投げることになる。それはきっと、ほとんどの人にとって不慣れな行為のはずだ。でも上手くやる必要も、ルールを頭に叩き込む必要もない。そのかわり、ティーを飲んで、話をして、お祈りをしよう。今日、わたしたちは愛を習うのだ。

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